2015.05.28 Thursday
山口小夜子とマグリット
あるお店でお客さまとスティーリーダンのお話をしていて
山口小夜子の顔のジャケットの「aja」とっても好き!
というような話題になり、
「そういえば今やってるよね!現代美術館!」
「そうそう!気になる!」
「じゃあみんなで行こうか!」
なんて流れで、早速行ってきたのですが!!
強烈でした。
行ってよかった。
何気なくスティーリーダンのお話してくれたMさんありがとうございます(T_T)
山口小夜子さんといえば!
70年代〜80年代の資生堂のミューズというイメージで、わたしも小さい頃、
テレビCMで見る着物姿と黒い艶のある髪、笑わない赤い唇、
きめ細かい肌とちょっと怖いような美しさにシビれた記憶がありますが、
こんな多才なアーティストだったなんて知らなかった。
驚愕の嵐でした。
70年代の、おしゃれな洋風に憧れてた風潮、ハーフモデルが中心だったファッション界の流れをガラリと覆したインパクトはみるみるうちに広がっていき、
高田賢三、三宅一生、山本寛斎ら、当時海外進出真っ只中だった日本のデザイナーたちと
瞬く間に「世界のSAYOKO」へのぼりつめていく80年代。
そんなモデル活動と並行してた舞台や映画女優としてのキャリア。
寺山修司の天井桟敷のメソッドに触れていたり、
オペラにも出演して衣装のデザインなども手がけていたり、
30代後半からは舞踏の世界に飛び込み
山海塾に参加、勅使河原三郎さんとのコラボレーション。
2000年代はクラブカルチャーの世界でラッパーとユニットを結成したり、
映像作家、VJとの舞と朗読と映像のパフォーマンスを展開。
など、オルタナティヴなものに対する開かれた感受性を一番発揮したのが晩年だった、と言われているみたい。
すごいバイタリティーですね!
いままでわたしの持ってた小夜子さんの勝手なイメージは、力強さとか、生身な人、っていう感じはもう全く皆無だったのですが、
時代ごとに自分を刷新していくチャレンジングな生き方、ひとつのところにとどまらないアバンギャルドな感性だったのか、
情熱のおもむくままに時代の波に乗れた人の特権だったのか、、
圧倒されるものがありました。
自らを「ウェアリスト(着る人)」と名乗り、
「演劇もダンスも朗読も音楽も、それぞれ役を『纏い』踊りを『着て』言葉を『着る』、
音楽を『纏う』という観点で捉えると、わたしの中で違和感なく表現に結びつけることができるのです」
と語っていたそう。
とても素敵だと思いました。
そして憧れる。かっこええなー。
小さい頃に刻まれた強いインパクトが、また違う衝撃で重ね塗りされました。
やばい。
↑最後の方に、撮影OKなエリアもあったよ!
展示も、小夜子マネキンや、資生堂の一連のポスターはもちろん、
本人によるファッション雑誌の小夜子写真のユーモラスなコラージュ、
初期のファッションスチールのベタ焼きに生々しい鉛筆チェックが入ったものまで、、とても面白かった。
やっぱり当時の日本のファッション写真、かっこよすぎ!
ゆるふわ感にまみれて色々ごまかしてしまってる自分には
目眩がする世界ですね(笑)。
最初のほうの、「山口小夜子のブレインルーム」っていう、小夜子さんの感性に深く関わっていたとされる遺品が
幼少期のお人形や洋雑誌などから最期のころまでの時系列で並んでる展示は、すごく見応えありました。
雑誌の切り抜きでキュートにデコったカセットテープとかもあるの!
ファッションが好きな方も、山口小夜子さんを知らない人も、
きっと楽しめるそんな展示でした。
あと3回くらい見たいな!!!!
そして、マグリット展にも!
行ってきたの!
すごい。あの美術の教科書で見すぎた代表作の作風だけじゃない、
戦争と戦争を挟んだ中での表現の変化、
シュルレアリスムの空気感というか、唐突なタイトル、ユーモアのような意地悪のような
愛のような無機質のような、淡々とした、なんとも言えない奇妙な魅力。
小さい頃にどこかで見かけてすごく好きになったけど、その頃はまだマグリットの名前も知らず、
そのまますっかり忘れて何年も経ってた絵にまた出会えたのは幸せでした。
グッズが可愛くてさー!!(笑)
好きなシリーズは「恋人たち」だったのですが、
帰りがけに、それとは全然違う絵のポップにデザインされたファイルとか鉛筆とか買っちゃった
。ミーハー。
ベルギーつながりなのか、ビールも売っていて、まんまと抱き合わせ商法にハマるわだす。
ステーショナリーはarteum というところのデザインでした。他のもすごく気になった!
売り子さんたちまで全員山高帽を可愛く被っていて、どこまでもマグリットの世界でした。
でもそういうのも楽しいね。
ガラッと作風が変わってどぎつくなる時代があるけど、また晩年に、原点回帰というか、
戻っていく様子が、とても興味深かったです。
そして、最後の最後にシンプルなかんじに展示されていたイーゼル、
印象的でした。
ちょっと生々しくて。いいわ。
マグリットは、お友達だったシュルレアリストのダリみたいな派手なパフォーマンスとか、エキセントリックな言動とは無縁で、
奥さんと一緒に庶民的な暮らしをして、
午前中に絵に向かい、午後は犬と過ごしたりして、夜は早く寝る、
なんていういう、周りから見たら、それはそれはシンプルな暮らしをしていたんだそう。。
でも毎日毎朝絶対キャンバスに向かうんだ、
っていうことは、
それはそれですごいことですよね。ため息がでるわ。
山口小夜子「未来を着る人」、マグリット展、
わたしにとってはどちらもかなり刺激的でした。
どちらも6月末頃までみたいです。
マグリットは7月からは京都市美術館。
気になったら、んもう、ぜひ!おすすめです。
現代美術館と新美術館、どっちもお散歩がてら楽しめる広々エリアだし、
余裕があるときにのんびり初夏を満喫してみてね。